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デラウェア
会社法

設立の次は?(会社の設立と事業免許の取得はどう違うのか?)


概要

  • 法人のライフサイクルは、「法人設立」という法律上の手続からスタートします。
  • 設立するだけでは事業を開始することはできません。なぜならば、ほとんどの事業について、事業免許及びその他の許認可の取得が義務づけられているからです。したがって、事業を実際に行う場所においていかなる許認可等が要求されるのかをあらかじめ把握しておかなければなりません。
  • 法人として有効に存続するためには、上記以外にも、デラウェア州の州務長官室会社部(Division of Corporations)に「有効な状態(in good standing)」にあると認められるための手続を毎年実施しなければなりません。かかる手続は、「コーポレートコンプライアンス(corporate compliance)」と呼ばれており、年次報告書の届出等を含みます。

米国にも、個人事業の形態をあえて選ぶ事業者はもちろんいますが、ほとんどの場合は、債務、税金、規制その他ビジネスの面におけるメリットを考えて法人化する場合がほとんどです。米国外ですでに法人として事業を行っている者が米国内に子会社等を設立するケースもよくみられます。 [参照:国境を越えて:デラウェア州がグローバル企業に提供できるメリット] 会社を設立するプロセスは、事業を立ち上げるための最初の大事なステップではあるものの、事業を行うための免許その他の許認可の取得とは全く別のプロセスです。

法令遵守を確保し、事業に成功するためにも、この二つの違いを理解し、事業を行う場所において課せられる義務を把握しておく必要があります。

「formation」と「incorporation」の違いは?

株式会社として米国内で事業を行いたい場合には、「Certificate of Incorporation」(定款)を作成して州当局に届け出なければなりません。株式以外の法人形態(リミテッド・ライアビリティ・カンパニー(LLC)、リミテッドパートナーシップ(LP)等)を選んだ場合には、「Certificate of Formation」(定款)を作成して州当局に届け出なければなりません。この届出によって法人が誕生することになります。人間でいうところの出生届のようなものとお考えください

この届出を行う州が当該法人の「corporate home」又は「domicile」、すなわち登記上の所在地となり、当該法人は、実際に事業をどこで行うかにかかわらず、登記上の所在地を管轄する州の会社法に服することとなります。デラウェア州の会社法は、米国内で最も先進的かつ柔軟な会社法であると一般的に評価されています。[参照:デラウェア州の法的安定性のある「授権法」] 会社法とは、法人の「内部関係」、すなわち、株主の責任、取締役の職務、合併、買収その他の組織再編を含む、出資及び経営に関する諸事項を定める法律です。一方、法人が行う事業の社会的な側面(労働、環境、税務、土地の利用等)については、事業が実際に行われる場所を管轄する法律の適用を受けることになります。

デラウェア州で設立された法人は、デラウェア州法人として存続し、その内部関係については、当該法人形態に適用されるデラウェア州の会社法に服することとなります。しかし、事業を行う場所を管轄する法律に基づき要求される事業免許その他の許認可等を取得するまでは、事業を開始することはできません。

事業を開始する前に取得しなければならない事業免許及びその他の許認可とは?

法人は、事業を開始するにあたって、事業の実施予定場所を管轄する国、州及び市町村により要求される登録及び許認可の取得を済ませておかなければなりません。米国では、事業による売上げが発生する場所、従業員が勤務している場所、有形資産が所在する場所においてかかる登録を行い、許認可を取得することが求められる場合がほとんどです。産業・業界、事業内容、所在地、商品・サービスの種類などに応じて要求される登録及び許認可の種類も異なります。

一般的に必要とされる許認可として、以下のものが挙げられます。

  • 事業免許
  • 税務上の届出等
  • 雇用関係の登録(失業保険及び労働者災害補償)
  • 公衆衛生に関する許認可
  • 環境に関する許認可
  • 職業資格・専門職資格
  • 酒類販売免許
  • 宝くじ運営免許
  • 土地の区域指定及び利用に関する許認可
  • 建物及び建物占有に関する許認可

事業免許その他の許認可に関する義務に違反した場合には、課徴金、勧告、営業停止といった処分を受ける可能性があります。事業免許及びその他の許認可のほとんどについて毎年更新手続をとる必要があります。

いかなる事業免許が必要となるのかについては、管轄権を有する州の担当部局(経済開発又は商務関係を担当する部局)の担当者にお問い合わせください。州又は市町村の商工会議所からも有用なアドバイスを得られるはずです。

デラウェア州法人であるからといって、デラウェア州内で事業を行う必要はありませんが、デラウェア州は事業を立ち上げて展開していく場所としても魅力的な場所です。米国に本拠地のある会社がデラウェア州への進出に興味を持った場合には、デラウェア州中小企業事務所に直接連絡をとり、デラウェア州法上要求される事業免許及びその他の許認可について説明を求めることができますので、ぜひこの制度を利用してください。デラウェア州は、このプロセスの効率化に日々取り組んでいます。

設立後における関係法令の遵守を確保するためには何をすればよいのか?

株式会社又はその他の法人を設立した場合には、上記の事業免許及び許認可を取得した上でそれらが適時に更新されるように確保しなければなりません。

デラウェア州で設立された株式会社については、取締役全員の氏名が記載された年次報告書の届出及び法人所得税の納税も義務づけられています。デラウェア州法に基づき設立されたリミテッドパートナーシップ、リミテッド・ライアビリティ・カンパニー及びゼネラルパートナーシップについては、年次報告書の届出義務はありませんが、納税しなければなりません。なお、かかる届出及び納税は、オンラインで行うことができます

まとめ

法人を設立する手続は、事業を立ち上げるために必要なステップの一つに過ぎず、ほとんどの場合、事業を行う場所を管轄する当局等から事業免許及びその他の許認可を取得することが要求されます。加えて、取得した事業免許及びその他の許認可を適時に更新して「有効な状態(in good standing)」を維持しなければなりません。事業を成功させるためには、これらの義務をきちんと把握しておくことが不可欠です。

参考リンク:


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