デラウェア州は、長年にわたり、あらゆる形態の法人にとって米国内で最も魅力的な州という評価を得てきましたが、デラウェア州の会社法は、米国内にも拠点を置こうと考える外国企業にとっても魅力的な内容となっています。デラウェア州の会社法は、定期的に見直しや改正が行われ、その際に、デラウェア州法人を専門分野とする経験豊富な弁護士からの助言や提案が取り入れられます。[参照:デラウェア州の法的安定性のある「授権法」] 加えて、デラウェア州における法人設立手続は比較的簡単で、効率よく済ませることができます。デラウェア州の州務長官(Secretary of State )は、業務の改善・向上に積極的に取り組むことで、国際的な水準を満たすレベルを実現するに至っています。また、デラウェア州では、事務処理を迅速に行うための体制を整備しているほか、電子的方法による書類の提出も認めているため、短期間で会社を設立することが可能です。その上、デラウェア州の州務長官は、「グローバル・ファイリング・サービス」、すなわち、事前通知さえしておけば、グローバル企業が週末や米国の祝日であってもデラウェア州法人を設立できるような制度も設けています。

デラウェア州の会社法は、グローバル企業がメリットを得られるような条項が数多く盛り込まれています。また、デラウェア州法は、企業結合や合併、事業譲渡、組織変更といった取引等に関して効率的な手続を定めています。

デラウエア州では、企業結合の方法・手段として、合併、資産の売却など、様々な選択肢が用意されており、外国会社と国内会社との間の企業結合を含め、あらゆる形態の法人を当事者とする企業結合が可能です。デラウェア州法人がそれ以外の法人と企業結合を行う場合には、州レベルの司法当局又は規制当局の事前承認を取得することは要求されません。また、デラウェア州法はかかる取引に関して明確な規定を設けているため、外国投資家は通常、かかる取引により新たに誕生する会社の当該取引後の姿について、法的意見書を入手することができます。

諸外国の会社法は、規制法としての性格が強く、煩雑な手続(「scheme of arrangement」等)を定めている場合が多いのに対し、デラウェア州では、M&A取引を実現するための法律上の手続には柔軟性があり、何十年も前から多数の企業がかかる手続を実際にうまく活用してきたことがその実効性の高さを証明しています。そういった利点があるからこそ、すでに他の州の法律に基づいて設立された米国企業であっても、M&Aにより積極的に取り組むにあたって、M&Aを実施するのに最も適しているデラウェア州法の適用を受けるべく、デラウェア州法人として再スタートを切る道を選ぶ場合があります。

また、デラウェア州法上、原則として、会社に対する出資者の責任は限定されており、会社の負債及び債務について出資者が個人的にその責任を負わされることはありません。ほかにも、一定の要件に該当する注意義務違反については取締役等の責任を限定したり、取締役等が個人的に責任を問われた場合の補償を幅広く認めることで、取締役等にとっての安心材料を増やし、リスクを減らすことが可能となっています。

デラウェア州では、グローバルに事業を展開する企業は、株式会社以外の法人(リミテッド・ライアビリティ・カンパニー、リミテッド・パートナーシップ等)を設立するにあたって、状況に応じて柔軟にその形態(出資形態・経営体制)を決めることができます。 [参照:デラウェア州における株式会社以外の法人] 株式会社以外の法人の設立等に関して、デラウェア州の法律は、契約自由の原則を中核に据えています。したがって、デラウェア州に基づいて株式会社以外の法人を設立する場合には、出資者は信認義務を導入するか否かを自己の判断で決めることができますし、当事者間の権利・義務関係を当事者間の合意により自由に定めることができます。

デラウェア州法人を設立する場合には、個々の事情に適した形にカスタマイズすることができます。それは、デラウェア州法上、経営に参加する権利、利益の分配を受ける権利といった点において内容の異なる複数の種類の持分を設定することができるからです。このような構造面での柔軟性は、当事者の持分割合が均等でない合弁のような場合に特にその効果を発揮します。

デラウェア州では、法人は、事業活動を行う場所及び営業所・事務所の所在地をデラウェア州内に確保することを要求されることはありません。唯一義務づけられているのは、デラウェア州内に登録代理人を置くことです。また、出資者も経営者も米国国籍を有する者である必要はありません。経営者及び出資者は、書面による同意さえあれば、会議を開催せずに、世界のどこからでも、議決権の行使及びその他の方法による意思決定を行うことができます。しかも、「書面による同意」も、電子的な方法を用いて行うことが可能です。

デラウェア州法人が何らかの紛争に巻き込まれた場合、紛争を解決するための方法を、様々な選択肢の中から選ぶことができます。例えば、デラウェア州の裁判所は、デラウェア州法人の経営者に対する裁判管轄権を有するため、出資者は、デラウェア州の裁判所、すなわち米国屈指の裁判所に紛争の解決を託すことができます。[参照:デラウェア州衡平法裁判所及びデラウェア州最高裁判所に提起された訴訟] 加えて、デラウェア州の裁判所は、デラウェア州法人のために、費用がかさむ正式な裁判以外の紛争解決方法として様々な制度・手続を用意しています。例えば、ここ10年の間の成果として、デラウェア州では、知的財産の開発、共有又は共同使用に関わる合弁事業の合弁当事者は、当事者のいずれかがデラウェア州法人である限り、通常は陪審員が審理を行うべき単なる損害賠償請求についても、デラウェア州の衡平法裁判所に紛争の解決を委ねることができるといった内容の法律が制定されています。この法律及びその他の裁判外紛争解決手続を活用できるというメリットに加えて、衡平法裁判所における事件処理の迅速さ及びコストの低さを考えれば、グローバルな合弁事業やその他のビジネス取引における当事者にデラウェア州法人を加えることは、理想的とも言えます。

紛争解決制度がまだ確立されていない新興国において合弁又はその他の取引を行う場合において、企業は、その子会社であるデラウェア州法人を通じて当該契約を締結することで、紛争解決をデラウェア州の衡平法裁判所に託すという選択肢を確保することができますし、どの紛争解決制度・手続を利用するかを契約において定めておくことも可能です。[参照:デラウェア州における裁判外紛争解決手続] デラウェア州では、契約は尊重すべきという考え方が主流であり、デラウェア州の裁判所においても、当事者が外国を含むデラウェア州以外の裁判管轄又は準拠法に服することに合意している場合は、原則としてそれを認める傾向にあります。なお、デラウェア州以外の法域に属する裁判所が下した判決について、その効力を認める旨のデラウェア州法がある場合には、デラウェア州における強制執行が認められることもあります。

デラウェア州法に基づいて法人を設立する場合には、手続が簡単であること、経営体制及び持分の内容をかなり自由に設計できること、経営者らの責任が限定されること、効率的かつ公平な紛争解決手続を利用できることを含め、様々なメリットが得られます。かかるメリットは、米国企業のみならず、外国企業にとっても魅力的であり、株式会社及びその他の法人を設立する場所としてデラウェア州が選ばれる理由にもなっています。