デラウェア州は、従来の株式会社という形態をとらない法人の経営者及び出資者にとっても、ビジネス上の問題や課題に対する解決が得られる場所となっています。根拠となる法律が異なる場合もありますが、株式会社以外の法人であっても、株式会社の場合と同様のメリットを享受することができます。具体的には、優れた裁判所、立法プロセスにデラウエア州弁護士協会を参加させることに肯定的な立法機関、利用者志向の州務長官室(Secretary of State’s Office)などが挙げられます。したがって、デラウェア州法に基づき設立された法人であれば、その形態の如何を問わず、デラウェア州法人であるがゆえのメリットを最大限活用することができます。

デラウェア州において株式会社に次いで人気がある法人形態は、リミテッド・パートナーシップ(LP)及びリミテッド・ライアビリティ・カンパニー(LLC)です。これら二つに適用される法律は、契約自由の原則を重要な原則の一つとして中核に据えることで、経営者及び出資者が双方のニーズを満たす最適なソリューションを実現しやすい環境を提供しています。デラウェア州のLPを設立するには、2名以上のパートナー、すなわち、LPの経営を担うゼネラルパートナー及び責任が限定されるリミテッドパートナーがそれぞれ1名以上必要です。LPに関する法律は、「授権法(enabling statute)」としての性格が強く、強行規定はほとんどないため、パートナー間の合意により当事者間の権利に関する条件を自由に決めることができます。

デラウェア州のLLCはLPとよく似ていますが、LLCの場合は、出資者自らが経営を行うか、あるいはマネージャー(業務執行者)に行わせるか、どちらかを選択することができます。デラウェア州のLP及びLLCの両方に共通する重要な点として、当事者の合意により、具体的には出資者に分かるように運営契約に明確な規定を盛り込むことにより、信認義務の内容を変更し又はその適用を排除し、信認義務に基づく責任を軽減又は免除できることが挙げられます。しかし、出資者の保護という観点から、たとえ当事者の合意があっても、黙示的な誠実・公正取引義務を排除することはできないものとされています。

ほかにも、デラウェア州には、法定信託(statutory trust)という法人形態が認められています。これは主としてストラクチャード・ファイナンス取引又は資産管理において活用されるものです。法定信託 は、受託者が受益者(信託財産に対する受益権を有する者)の利益のために資産管理又は業務運営を行う旨の信託契約を締結することによって組成されるものです。法定信託の組成に係る契約において受託者及び受益者は自由に権利及び義務を定めることができるため、法定信託は柔軟性に富んだ法人形態といえます。加えて、当事者を債権者から守り、当事者の責任を限定するといったメリットもあります。

デラウェア州法は、「nonstock corporation」という法人形態についても定めています。「nonstock corporation」とは、株式会社と似ていますが、その持分保有者は「株主」ではなく「member」である点が異なります。この法人形態は、従来の株式会社と同じような安定した構造をもつ一方で、経営者及び出資者が経営を行うにあたってより柔軟かつ効率的に意思決定等を行うことができるようになっています。デラウェア州の nonstock corporationsは、持分保有者に利益を分配しない非営利の組織に適した法人形態です。多数の有名な慈善団体が、デラウェア州の非営利nonstock corporations 制度を活用することにより、デラウェア州法人としてのメリットを享受しつつ、通常の営利目的の株式会社に課せられる事務負担が排除された柔軟な体制を築き上げています。

ビジネス上のニーズは会社によって様々ですが、デラウェア州ではそれぞれのニーズにあった法人形態を実現することができます。デラウェア州の安定的かつ柔軟な法制度により、法人形態について多種多様な選択肢が用意されていますし、どの法人形態を選択した場合であってもデラウェア州法人としてのメリットをフルに享受することができます。